愛撫の刑

「色気なー」

 彼女の口から出た、デリカシーのない感想にムッとした。私のパンツは水玉模様で色気には乏しいかもしれないが、年相応と思う。むしろ、まだ10代のくせにしてレースだの紐パンだの、果てにはTバックを好んで身につける貴女たちのほうが異常だと、異論を唱えたい。

(そういえば、志田ちゃんは、あれ。志田ちゃんのってどんなだっけ……)

 慌てて頭から振り払った。恋敵の下着姿を懸命に思い出そうとモヤモヤしているほど、あほらしいものはない。なに考えてんの、と軽い自己嫌悪に陥っていると。

「バージンなのに、こんなに濡れちゃってさ。自分でシてたりして」

 不意打ちの言葉責めに心臓が跳ね上がったはずみで、私は間抜けにも馬鹿正直に白状してしまった。

「理佐がっ、教えるから!」

 口をついて出たのを、しまった、と慌てて口を手で押さえたが、もはや後の祭りであった。彼女の夢うつつな双眸そうぼうめたように瞳孔を開く。そして、獣のような鋭い光が宿りはじめた。

「へぇ……してんだ?」

 表情はクールだったが、口はどこか嬉しそうに歪んでいる。牙をいている、と捕食される側の防衛本能がそう言った。

「あーだからか。最近色っぽくなったのは、一人エッチしていたからなんだ?」

 彼女は狩りをはじめるようにむくりと起き上がると、生き餌の私を追い詰めるように、壁に手をついてきた。私は喰われるよろこびを見られまいと、面を伏せる。

「ねぇ、どこしてるの? ここ?」

 理佐の手が私の両脚の間に割り込み、指先でグッと中心を突く。小さくかぶりを振った。

「じゃあ、ここ?」

 次は突端をつついた。うつむいたまま、返事はしない。

「今日は––––」

 今度はパンツの縁に指を引っ掛けながら、耳元で囁いてきた。かすかに熱を帯びた吐息が耳をくすぐる。

「パンツ脱いで、しよっか」

 妄想が現実になっていることに、これは夢なんじゃないかと頬をつねりたくなる。
 喰われる覚悟を決めた私はぎゅっと瞼を閉じ、餌食らしくじっと微動だにしないでいた。すると。

「葵、もうおこちゃまじゃないし、一人で脱げるでしょ」

 理佐は呆れたように、クスクスと笑っている。カァッと顔が熱くなる。
 彼女は既にサディストモードだ。さっきまで眠たそうな顔が嘘のように、ほら、いつの間にか“女王様”の顔になっている。女王様に「NO」は通用しない。従うほかなかった。

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3件のコメント

  1. Thanks, I wasn’t aware of that, I’m not on FB (and have NO plans to join) so, I did’nt know..

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  2. お久しぶりです!
    何度も何度も読んで楽しませていただいています。
    理佐葵の大人と子供コンビの初体験、楽しみですし
    ゆっかねんの奥手二人の恋路も気になりますし、
    てちがりかちゃんとテクニシャンねるのどちらを選ぶのかとても気になります!

    今大変な世界は状況ですのでさくらん坊さまもお身体にお気をつけてください。

    楽しみにしています。

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    1. >うに 様
      お久しぶりです。
      何度も何度もだなんて、ありがたい限りです。
      理佐葵コンビの初体験はどのタイミングでくるのでしょうか・・・
      はたまた、キャプ副キャプコンビの恋路はどうなることやら・・・
      平手はお姉ちゃんな梨加を選ぶのか、小悪魔ねるを選ぶのか果たして・・・
      乞うご期待!☆笑

      早速ではありますが、新作を更新しましたのでご笑覧くださいませ。

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