黒烏龍茶のお出ましに喚声を上げて有り付く6名のうち、一人ただグラスを眺めている子は、そう、私だ。
小林由依。16歳。普通にしてただけなのに、埼玉住まいとだけで何故かヤンキー疑惑がかけられた挙句、不本意ながらぼっち扱いまでされているという始末だ。誠に遺憾である。
一応、念の為に言っとくが決して友達がいないというわけではない。ゼロではない。2桁いってるかって? メンバー達とまだ打ち解けていない、ご覧の有り様です。 …つまらない自己紹介はこれでお終い。
ともかく、淹れてくれた黒烏龍茶からは、らしからぬ甘い香りがした。決して不快な香りではなく、寧ろ、すぐに飲み干したくなるような香りであった。現に、配られた5人はまるで仕事後のビールを一気に呷るかのようにゴクゴクと喉を鳴らしている。
甘いものは口にしたくなるのが女の性というものだろうか。織田奈々に至っては、胡座かいてコップを垂直さながらに傾け、豪快に飲み干している。その貫禄っぷりに、もしかしすると、かの有名な将軍織田信長の血を引いてるのかもしれないと思った。
瞬く間に空になった5杯のグラスを見るに、嘸旨いに違いない。しかし、私は、不思議と気が進まなかった。
琥珀色の洋燈に照らされた赤銅色の液体が可笑しいことに婀娜っぽく見えた、なんて思ったりしてると、ぼっちの私に声が掛かった。
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もう書いて下さらないんですか?
たまに思い出して更新がないかチェックしています。また読みたいです。
楽しみにしています