♂第一話♀

平手side


「大丈夫? 心配し……」

「ちんこ頭って言うなッ!!」

「えっ!? 言ってないし!」

 叫びながら起き上がると、辺りは全く見覚えのない部屋だった。理佐は本気で心配してる様子だ。

「はぁはぁ……」

「ちょっと、どうしたの? なにか悪い夢でも?」

「ううん、ごめん。ちょっと、トラウマが……」

「トラウマなの? どうする、帰る?」

 

ここは過去を掘り返すおぞましき場所、
まさに冥界ハデスだ。

 しかし、ちん子ちゃんの天使のような顔が浮かんだ。

地獄の中に現れた救世主メシア
神々も恥じらう美しさを備えし
人間と天使とのハイブリッド

尾股おまたちん子

ここで帰ったら、
私は一生後悔リグレットするだろう。

永遠とわに、ちん子ちゃん以上の女性には
出会えしえぬ存在な気がした。

 

「ううん! 大丈夫!」

「そう? 無理しないで」

(ちん子ちゃん、すぐにでも会いたい––––)

 先ほどの場所に急いで戻って順路を進んでいくと、また人だかりができていた。パンフレットを確認すると、どうやら「ちん子ちゃんのどぴゅどぴゅ解説コーナー☆」を開催しているらしかった。最後列の私は理佐の肩に手を乗せて背伸びしつつ、ちん子ちゃんの姿を確認する。

「今から……ちん子ちゃんの……どびゅどぴゅ解説コーナーを、始め……」

 消え入るような声で俯きながらコーナーを読み上げた。目は滲んでいるように見えた。男たちの歓喜の声が上がる。

「うおおお! ちん子ちゃん可愛いよおおお!」

「恥ずかしがらないで頑張ってえええ!」

 ちん子ちゃんの隣に並ぶ、不動明王像ふどうみょうおう威風堂々いふうどうどうとした佇まいで見るものを圧倒させていた。そして、股間からは立派な逸物いちもつが飛び出している。

逸物……
つまり、ちんこ。

 

「ぐっ……」

 

再び、頭が疼く。

過ぎ去りし日々の記憶の
断片が揃うのを
抗うように振り払う。

(くっ、また暴れ出しやがったか……!)

この程度のごときで
ダークネスに支配されてたまるものか––––

 

「鎮まれ……ッ! 私ッ!」

 

「……大丈夫?」

 

 理佐が怪訝な顔を私に向けている。

 

 

「はぁはぁ、大丈夫……」

 「ちんこ」にフラッシュバックを起こして来たが、不思議なことに、ちん子ちゃんの顔を見ると少しずつ和らぐのであった。彼女はちょうど、不動明王の立派な逸物に手をかけている。

(ち、ちん子ちゃん? 一体なにを……)

「お……おちんちんを7回……こうすると、子宝に恵まれます……」

 美しい顔を赤らめながら、おもむろに不動明王の逸物をしごき出してるではないか。

(な、なんていじらしいんだ……!)

シュコシュコシュコシュコシュコシュコシュコ……

「うおおおちん子ちゃん! 俺のちんこもしごいてくれ!」

「俺のちんこもこんなんなっちゃってるよ! ちん子ちゃん!」

「うるさ、まじきも」

 理佐は腕を組んで、汚物を見るような視線を投げていた。

(エロくて直視出来ないよ、ちん子ちゃん……!)

 私の股間は熱を持ちはじめた。股間に全神経が集中していくなんて、初めての感覚だった。とろけていくような甘美な感覚が私の全身を駆け巡る。ふと、ちん子ちゃんと目が合った。唇を噛んだのち、さりげなく微笑んでくるちん子ちゃん。その瞬間、私の股間がドクンと波打ち、何かが熱いものがどっとこぼれたのを覚えた。

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