プロローグ

「欅坂46結成から今日までお疲れ様でした~」

「乾杯~!」

 時は12月26日。
 欅坂46結成から4ヶ月。初冠番組「欅って、書けない?」の収録も終わり、これで年末の仕事納めだ。年末ということでどのテレビ局も大忙しだった。今年は都市伝説スペシャルといった色々な企画をやってるらしく、忘年会の隣の会場が都市伝説スペシャル企画の打ち上げで行われていた。

 欅坂46一同で祝杯としてビール、と言いたいところだがメンバーの殆どが未成年で占めていたので全員お茶で乾杯することにした。

 その中、つつやかな緑の黒髪のショートボブでどこか昭和な雰囲気が漂う素朴な子がスタッフやら色んな方から褒め千切られて謙遜にしつつも照れが隠せないでいた。
 彼女はこないだ初めてのテレビパーフォマンス披露で乃木坂46先輩の代表曲「制服のマネキン」のセンターを務めた。齢14。メンバー最年少。平手友梨奈。

 平手は初めてのテレビパーフォマンス披露で初めてセンターに立ち、直視できない幾多のまばゆいスポットライトを浴びる感動と快感を初めて味わった。
 平手が自分の持っているお茶をじっと見つめると、だらしがなく鼻の下を伸ばした自分の顔が写っていた。

(ダメだ、しっかりしなきゃ!)

 それをかき消すようにお茶を飲み干した。
 まさかこの出来事が彼女を含め、欅坂46のメンバーの人生が大きく変わろうとしていたとはこのとき知る由もなかった。