ちん子・まん子side
「行っちゃったね。さ、残りの仕事しよっか」
愛佳が怠そうにお尻を掻きながら秘宝館に戻ろうとするところで、梨加のクスクスと笑う声がした。
「ふふふっ」
「あん? なにがおかしいの」
愛佳が振り向くと、梨加はにこやかに微笑んでいた。
「だって、嘘ついちゃったのに、あの子ったら真っ直ぐに信じちゃったから……」
「えっ、どんな嘘?」
「私とキスしたら私にしか好きにならない呪いにかけるって……言っちゃった!」
口元に両手をグーにして添えてキャッキャッと喜んでいる。
「うーわ、悪魔かよ」
「だって、一目惚れしたときから好きになっちゃったんだもん。誰にも渡したくなかった」
梨加は愛佳の腕を組みながら上目遣いで見つめていた。
「ねーちゃんって、そーいう怖いとこあるよな……」
「うふふっ」
ここで物語は終わるが、秘宝館のアイドルちん子ちゃんとまん子ちゃんの恋の物語ははじまったばかりだ––––
Fin
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