返事
「返事が……したい」 私が告白した人は優しい笑みを浮かべて、そう言った。それがOKサインなのか、それとも傷付けないように気遣っているのか、全く読めない。しかし、私の気持ちは揺るがなかった。どんな答えであれ、諦めない自信…
続きを読む →「返事が……したい」 私が告白した人は優しい笑みを浮かべて、そう言った。それがOKサインなのか、それとも傷付けないように気遣っているのか、全く読めない。しかし、私の気持ちは揺るがなかった。どんな答えであれ、諦めない自信…
続きを読む →「てちこ見なかった~?」 びっしょり汗に濡れた今泉がタオルで拭きながら尋ねてくる。 「あー」 そう言った後、考えを巡らす。それでも言葉が見つからず「えっと」と繋いだ。 「ごめん見てないや」 「そっかー残念」 今泉はが…
続きを読む →はぁぁぁ~……! ステージからはけた後、深いため息を吐いた。これまで吐いてきたため息とは違った、満足げなため息だった。 異常な興奮状態に陥って、コントロールが効かなくなるなんて初めてのことだった。今ま…
続きを読む →ライブは無事に終わった。特に際立ったミスもなく、溜飲が下がった。同時に多くの反省点も見つけた。メンバーたち普段の皆からは想像できない程の全身に闘志を漲らせ、気合いの入ったパーフォマンスを見せた。私も闘志を沸き立たせずに…
続きを読む →デビューカウントダウンライブ。必死に歌って踊っているうちにいつの間にか時間が経ったらしい。 私はただ平手の勇姿に心奪われてばかりだった。 センターのお手並み拝見と誰もが注目した。しかし、平手の働きは現実を遥かに凌駕…
続きを読む →初公演は無事閉幕した。汗と共に雑念が流れていった気がして、爽やかな気分だった。 一つ目の大任を果たした今、梨加ちゃんのことで頭がいっぱいになっていた。 梨加ちゃんに会いたい。 そして、想いを伝えたい––––。 …
続きを読む →どうしましょう……。 私は今、まさに悩んでいた。 お嬢さま御用達の学校に入り、エスカレーター式で進学して決められたレールを歩んできた。私の親は厳格な人という訳でもなく、比較的やりたいことに関しては背中を押してくれる…
続きを読む →「ねえ! 友梨奈、いる?」 寮組のメンバーと自主レッスンに打ち込む中、お出かけから戻った織田のハイテンションな第一声がリビングに響く。 「えっ、今日はずっと会ってない」 レッスンしているメンバーの中に平手の姿はなかっ…
続きを読む →ついにこの日を迎えた。私たちのデビューシングル「サイレントマジョリティー」初披露の時が。 ステージに向かう道中、平手がヘタレモード発揮して私に甘えてきた。 「無理、どうしよう」 まだ14歳だし、その若さにしては酷な…
続きを読む →初めての唇同士の感触。 キスを済ませていたかつての同級生によると「キスの感触はマシュマロ」らしいが、梨加ちゃんの唇はマシュマロよりフワッとしていて、熱くてとろけそうだった。頭に5アンペアぐらいの電流が流れたような痺れ…
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