小説家からの贈りもの

週末。仕事の帰りに私は恋人を連れて、行きつけのオネェバーに今日も通っていました。そして。

「織田奈那とかホント、下手そうよねぇ!」

いつものようにオネェの一人が恋人の方を指さしてからかうと、彼女は「んもう~」と定番のオネエ口調で反応しました。

「ひどーい!」

お約束のやり取りに笑いが起こるのでした。いつも皆からこうやっていじられている織田奈那は私の恋人です。ちなみに、喋り方がオネェっぽいですが、れきっとした女性です。

「そんなことないよ。ね、美愉」

今度はぶりっ子調で恋人の私に助けを求めてきました。
上手い下手くそ以前に、私たちはセックスレスなのです。しかも、最後にした日からもうすぐ1年が経とうとしていたのでした。

「はは、想像に任すよ」

私は苦笑いを浮かべながら返事するしかありません。本当は暴露したかったけど、織田の顔に免じてつぐみました。
皆の人気者で、男にも女にもオネェにも。老若男女全ての人たちに好かれている織田のイメージを下げるようなことが許されるはずがありません。
その日も皆、楽しく盛り上がっていましたが、私は気分が晴れないまま酒をぐいっと吞んで、複雑な心境をごまかすのでした。

 

 

バーの帰り、織田が電話に出て何やら話しています。織田の日本人離れした横顔を、私は不安そうに見つめました。
通話を終えると、白い歯を見せて私にこう言うのです。

「今日、来るって。楽しみだね」

私は俯きながら「うん」と答えました。なぜ、俯いているのかって?
それは、織田がここ最近、はまっている“遊び”に私はあまり乗り気じゃなかったからです。

私の恋人は変な性癖を持っているんです––––。

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4件のコメント

  1. いつも読ませていただいてます!
    寝る直前に読んで目が冴えました笑
    自分が見つけられてないだけかもしれませんけど、オダナナの裏って意外と(?)少ないのでめちゃ嬉しいです笑

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    1. >risco さん
      はじめまして!
      あらあら……寝不足にさせちゃってごめんなさい♡フヒヒ
      確かにオダナナの裏あまりないですよね!と自分も思ったので、今回書かせて頂きました!喜んで頂けたなら光栄です。
      引き続き、宜しくお願いします(^^)

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  2. いつも読ませていただいてます。
    『もう他の男性の躰では満足させないように、彼女を情慾を火だるまにする—-』この一文に痺れました!
    歪んだ深すぎる愛、良いですね。
    それもまたオダナナとスズもんらしいかなと。
    最高な作品をありがとうございます‼

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    1. >sysm さん
      いつもありがとうございます。

      あああ、それはですね。実は、作中ですずもんが音読している文は実在している官能小説から引用しているんですね。とはいえ、丸ごとは流石にマズイのでちょこちょこいじってはいますが。・・・ということで、いずれ自分も痺れるような文が書けるように精進します!

      歪んだ愛が好みでしょうか?実はそのネタも温めてあります!いつかは出しますので、その時はぜひ、悶えてくださいませ♪
      ありがとうございます、そう言っていただけるなんて光栄です!

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