「キス……してもいいですか? なんつって」
駄目だ。恥ずかしさが先行してしまって、どうしてもおどけてしまう。
「恥ずかしい……」
彼女は恥じらうように、孫の手を作って口を隠す。その手をどけてみる。すると今度は本当に恥ずかしかったのか唇を噛んで俯き出した。
「唇噛まないで、キスできないじゃん」
今度は掴まれてない方の片手で顔を隠してしまった。その手も、どかす。
どうやら私がリードするしかないみたい。本当に手が焼けるお姉ちゃん。
「目をつぶって」
梨加ちゃんは聞き分けはいいのか、言われる通りに目をつぶった。その赤い唇にそっと唇を重ねる。
人目を忍んで長い口づけを交わす。夕焼けの光を受けた二人のシルエットが重なり、一回離れるとまた重ね出した。星が瞬いても、離れることなくずっとくっついていた。
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