ときめきの巻

 メンバー同士が、女同士が付き合う、愛の形もあるよね。

 

 平手と渡辺が付き合っている。しかも、結ばれたというのだ。
 あまりの展開の早さに驚いたのもさることながら、メンバー同士が付き合うということは全く予想だにしなかったから驚いた。でも、嫌な気はしなくて。むしろ、彼女たちを祝福したい気持ちでいっぱいだった。

 形はどれであれ、人を好きになる。なんて素敵なことだろうか。愛の逃避行も空想したりしていた私は、そのような形に囚われない恋愛に密かに憧れていた。

 

 幸せな気分のまま、自分の部屋のベッドに転がる。天井を見ながら今日のハイライトを頭の中に流した。梨加ちゃんの幸せそうな顔。私は初めてあることを空想してみた。

 もし、私がメンバーと付き合うことになったら誰なんだろうか––––。

ゆっかー!

 茜のくしゃっとした笑顔が真っ先に思い浮かんだ。彼女とは「手を繋いで帰ろうか」でカップル役を務めていることもあって、思い浮かんじゃうのも無理もないかなと思った。
 しばらく空想しても、茜とは常に隣同士のポジションだからか、どうしても彼女の顔しか思い浮かばなかった。

「茜、可愛いしね……ちょっと怖いけど」

 ぽろっとこぼれたのが恥ずかしくなって、慌てて周りを見回す。ここは私の部屋だ、私以外は誰もいないはずなのに、慌てている自分がおかしかった。最近の自分、本当変なの。
 一度、深呼吸して心を落ち着かせてから茜について考えてみた。

 茜と私はいくつか共通点があった。
 まずは“体育会系”という部分だ。
 茜は見た目も中身も松岡修造タイプの熱血体育会系だが、私も結構体育会系だ。私が所属している馬術部はマイナーなスポーツだが、かなり厳しい部活でもあるのだ。下手すると大怪我を伴う危険な競技だからである。
 よく穏やかと言われるが、熱いところはあると自負している。叱られることも結構好きだったりする。
 茜のほうはどちらかというと、叱る方が好きそうだが。(実際、かなり似合っている)

 そして、“お嬢様”という部分も一緒だった。
 これはどちらかというと私の方がイメージが強く根付いているが、茜もかなりのお嬢様だ。私の家は洋風仕様で、茜の家は和風仕様と、これもまた対照的なのも面白い。大和撫子感が出ていて大変良いと私は思う。

 他には、“立ち位置”も酷似していた。
 私は年長者ということもあり、自然の流れでまとめ役を任されていた。私が不在の時は茜が率先して、代わりに挨拶に回ったり、まとめたりしてくれている。

 こうして思い返すと、私たちってシンメトリーな関係なんだなあ。
 って、あれ。
 私ってば、さっきから茜のことばっかり考えてる––––。

 茜の屈託のない笑顔、闘志を燃やしている顔、悔し泣いている顔……いろんな顔が次々と思い浮かんで、気付くと自分は茜のことしか考えていないことに気付いた。

「私なんか最近、茜のことばかり……」

 ハッとした。胸が悸えを覚え、切ない感情が溢れ出す。今度は、茜の顔を考えただけでもう胸が苦しくなってしまった。
 トクンからドキドキへ、ドキドキからバクバクへ。好きのオノマトペが次第に大きな音を奏でていく。

 そんな、どうしましょう……。
 すごく、好きみたい。

 

 お父様、お母様。私は本当に、親不孝者です。
 半陰陽どころか、女の子にまで恋してしまいました––––。

––––––––––To be continued.