「光ってる」
平手を見た時の最初の感想。
「眩しい」
オーラ? 迫力? 人並みじゃないパワーを感じた。
14歳とは思えない大人っぽさの中に残るあどけなさ。14歳を感じさせない凄み。真っ直ぐで無垢な瞳。
私には持ってない物を全て平手が持っている。
彼女がセンターに選ばれるのも時間の問題だと悟ると同時に、センターは立てるべくして立つ人間だということを思い知らされた。私はというと二番手ポジションに置かれた。
とても悔しかった。でもそれと同時に喜びも込み上がってくるのを感じていた。たかが欅坂46と思っていたのに、ここまで心奪われる存在と出会えるなんて。他のメンバーは眼中になかった。しかし、彼女には強い関心を抱いた。
そんな彼女が「半陰陽」になったと聞かされた時、驚かなかったというと嘘になっちゃうけど、不思議とショックはなかった。他のメンバーが半陰陽になっていようが正直どうでもよかったが、彼女が半陰陽になって、以前より興味を持った自分が可笑しかった。
テーブル上に置かれていたAKB新聞に、欅坂46のコーナーが目に入ったので手に取ってみると、そこには平手と私との記事が取り上げられていた。
エース候補になりそうなのは今泉佑唯と平手友梨奈。
今泉は小柄だが歌唱力があり、アイドルとして完成している感がある。
一方の平手は素朴な印象だが、「星空のディスタンス」を力強く歌唱。
審査員の1人は「すごくアーティストっぽい」とうなっていた。
実際、ロケでも、番組でも、インタビューでも、平手とペアとして駆り出されることが多くなった。
これが一番手と二番手の宿命。
平手の隣に相応しいのも私。
平手を支えられるのも私。
私と平手との関係はいずれ「友情」という生易しい言葉では片付けられない、かつての「あつゆう」や「JR」「さやみる」さえ凌駕する名コンビになれる。てちずーみんコンビが欅坂46の歴史を創っていく。そう確信していた。
でも、いずれ私が平手を蹴落としてセンターに返り咲いた時は、隣は平手でないと駄目、と秘かに思っていた。