そっとドアを開けると、バスルームのすりガラスから微かに裸体のシルエットが見えた。身体を洗っているようだった。くびれた腰に、やや大きめのお尻。
(駄目。これ以上、見たら理性が……)
目を逸らした先には、脱衣かごがあった。さっきまで梨加ちゃんが着用していた服が少し無造作に置かれている。私はあるものに視線が釘付けになった。
服の上に置かれた一枚のパンティ。コットンのような肌触り、そしてピンク系である。
自分のことを愚かだと罵った。まるで、自ら蜘蛛の巣に身を投げているような行為じゃないか。餌へと動けば動くほど逃れなくなる。これ以上はさすがにまずいだろう。頭ではそう命令してても、体が言うことを聞かない。
おずおずと手を差し伸ばし、パンティをつまみあげた。同時にシャワーの水音が止んだのを聞いて、慌てて洗面所を逃げ出す。
リビングのベッドに座るのと同時に、ガチャリとバスルームが開かれる音がした。意味もなく、ベッドに行儀よく座っている自分が可笑しかった。我に返って、先ほどの自分が気持ち悪く思えてならなかった。
違和感を覚える右手を見てみると、梨加ちゃんのパンティを握っているではないか。慌ててズボンのポケットに突っ込む。
しばらくして、濡れた髪をタオルで拭いながら、上気した肌に拭き残した水を滴らせている梨加ちゃんが出てきた。
「ありがとう、さっぱりした」
「あはは、よかった」
動揺を押し殺しつつ、笑顔で返事する。パンティを忍ばせているポケットの上に置いた手が力んだ。
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