コットン素材のピンクパンティ

 ミュージックステーションの出演も決まり、「サイレントマジョリティー」は事実上ヒット曲となった。欅坂46結成からデビューまで8ヶ月足らずでここまで、とんとん拍子で階段を駆け上るとは思わなかった。ありがたい事に仕事が増え、多忙を極めた。その反面、センターとしての相当なプレッシャーを感じている。次のシングルへの不安が募っていく一方だった。

「はぁ……」

 欅坂46に入ってから、どれくらいの溜息を吐いただろうか。

学校の宿題をやらなきゃ。
歌詞覚えなきゃ。
ボイストレーニングしなきゃ。
振り付けの復習をやらなきゃ。
ブログ更新しなきゃ。

 やる事が多くて、あまり睡眠が取れていなかった。仮に寝床につけたとしても、不安で眠りにつけないだろう。目の下にはくっきりと、誰が見てもわかるようなクマができていた。

ピンポーン

 ぼんやりと天井を眺めていたら、チャイムの音が聞こえてギョッとした。

「私だよ」

 インターホンの向こうから梨加ちゃんの声が聞こえた。無性に甘えたい気分だった私はたまらず、勢いよくドアを開けた。梨加ちゃんは抱えていたアオコの小さい手を挙げさせて振っている。腕にはトートバッグをぶら下げていた。

「こんばんは」

「こんばんは。少し散らかってるけど、入って」

 梨加ちゃんを部屋に招き入れる。

「ごめん、勉強中だった?」

 机上が教科書やプリントで散らばっているのを見てか、気遣ってくれた。

「ううん、大丈夫! ちょうど梨加ちゃんのこと考えてたし」

 梨加ちゃんは照れたのか、頬を赤くして視線を斜め下に投げている。口は緩みまくっていた。

「ねぇ」

 梨加ちゃんが腕にぶら下げていたトートバッグを持ち上げながら聞いてきた。

「ん? 何?」

「私のとこのお風呂、少し調子悪くて。だから借りていい?」

 トートバッグの中身は着替え一式らしい。心臓の鼓動が速まる。

「んっ? えっ、あっ風呂が故障ね。どうぞどうぞ」

 どぎまぎして答えると、梨加ちゃんは微笑んだ。

「ありがとう」

(なにを慌ててるんだ、私は思春期のガキか? いや、思春期だけど)

 バスルームのドアが開かれる音を聞いた。そして、シャワーの水音を聞いた。梨加ちゃんはどこから洗うのだろうか。どんな裸体をしてるんだろうか。空想にふけっていると、ズボンがむくむくと膨らむのが見えた。

(おいっ、やめろ。不潔だろ。落ち着け、落ち着け––––)

 フタナリになって以来、どんどん不潔になっている気がして嫌な気持ちになる。しかし、自慰行為が麻薬のように一度味わったらやめられない快感だったのも事実であった。

 気付くと、梨加ちゃんのとこへと足を進めていた。