今日も私の恋人、梨加ちゃんが私の部屋に泊まりに来ている。LINEの通知バッジの馬鹿げた数字に思わず二度見しつつ確認すると、グループトーク部屋は祝福メッセージで溢れていた。
途中からは皆で勝手に盛り上がっていたが。どうやら私と梨加ちゃんが付き合っていることが皆に伝わったらしい。梨加ちゃん曰く「茜が勝手に報告した」そうだ。それでなのか、今日は珍しく梨加ちゃんが甘えてきた。「どうしたの」と聞くも答えず、私に抱きついてるだけだった。
抱きついてくる梨加ちゃんと戯れあっている中で、ショップ袋が目に入り私はあることを閃いた。
(そうだ!)
「お風呂、入ろうよ。一緒に」
甘えてくるお姉ちゃんはきょとんとしたのち、恥ずかしそうに唇を噛みながら頷いた。
熱い湯を張った湯船にゆっくりと身を沈める。最近、シャワーで済ませることが多かった私は、熱めの湯にピリピリと背中が痒くなり、思わず背中を掻いた。そんな私を見て笑っている梨加ちゃんは、お姉ちゃんの一面を見せている。
梨加ちゃんは長い髪の毛をアップにまとめていた。熱いお湯でいともたやすく白肌がピンク色に染まってゆくその様子がなんとも色っぽい。
「そういえば、ちょっと前に買ってきたんだ!」
店で購入した、固形の入浴剤を自慢するように見せる。バスボムというやつで、白い球体に赤いハートのチップらしきものが散らばめているデザインだった。
「可愛い〜」
「えへへ、でしょ。少し高かったんだよ」
バスボブを見つめている梨加ちゃんの瞳が爛々と輝いている。
「いくよ……えいっ」
たぷんっ
ぶくぶくぶくぶくぶく
浴槽の底に沈んだバスボムが泡をたてはじめ、ほっとするような甘くて優しい香りがバスルームに広がる。ほどなくして、湯は乳白色に染まった。
ごぼごぼごぼごぼ
「あ!」
泉のように泡立ててるところからハートが1個、浮かび上がった。
「かわいい〜!」
続いて二個目が現れた。私は二つのハートの方を指差しながら言った。
「あっちが梨加ちゃんで、そっちが私!」
「二つとも離れてるよ」
(手のかかるお姉ちゃん、言われなくともすぐに近づけさせて差し上げますよ)
私は両手で水をかきながら二つのハートを近づけさせようとしたが、水の揺れで梨加ちゃんのハートの一部分が欠けてしまった。
「あー傷つけないで。優しくして〜」
「ごめんごめん」
バスボムの泡が大人しくなってきたと思うと、もう1個。ハートが姿を現した。
「あ、三個あった」
3個目のハートはゆらゆらと水の流れに従って、一つのハートに近づいている。それから、ピタリとくっつき出した。それは私のハートだった。くっついて離れない二つのハートから離れたところで寂しく浮いているハートのほうに目を移すと、胸の窪みにはまっているようで動けないでいた。その胸から上へと視線を移すと、頰を膨らましている恋人の顔があった。
「浮気者……」
「あっ、ははは」
「ふん」
恋人はぷいっとそっぽ向いた。
(プク顔可愛い〜!)
「する訳ないじゃん! 梨加ちゃん綺麗だし」
「友梨奈ちゃんだって可愛いよ」
梨加ちゃんは拗ねながらも、そう答えた。
「あと」
ちらりとこちらを一瞥した。この時の梨加ちゃんの顔がとても綺麗で、私の心臓が跳ねてしまう。
「かっこいい、し……」
梨加ちゃんは顔を隠すように、顔ごと湯に浸かった。いきなりのことに私は思わずたじろいだ。
「え! 梨加ちゃん!」
慌てて梨加ちゃんの顔を上げさせると、さっきより更に紅潮させていた顔が現れた。
「やだ、恥ずかしい。出るね」
「待って」
梨加ちゃんが湯から上がり、バスルームのドアを開けようとしたところで、私はドアを押して閉めた。
私より少し背の丈が高い梨加ちゃんの肩にキスを一つ落とす。触れた瞬間、甘い香りが私を惹きつけ、再度キスをする。
乳白色の湯の中で私の股間はずっと隆起していて、突入するタイミングを伺っていたのだ。
「好きだよ」