考えあぐねた末、私は梨加と仲直りするために恋人の部屋のドアをノックした。『スクールオブロック』の収録後で、かなり遅くなってしまった。時計は深夜0時を指している。梨加は早寝だから、もう寝ているかもしれない。
あまり期待はしていなかった。それでも目の前のドアが開き、梨加の顔が現れた瞬間、私は崩れるように泣き出した。
「昼はごめん……」
顔を覆って泣く。いまは、少女みたいだった。
梨加は姉ちゃんみたいに抱きしめ、部屋へ入れてくれた。
「完全に八つ当たりしてた。本当ごめん」
「ううん、私も……ごめんね」
私は勇気を出して、ねるにも話した悩みを梨加に打ち明けた。梨加は何も言わず、最後まで聞き役に徹してくれた。
本当に、聞くだけだった。
「私は味方だよ。何があっても、友梨奈のことは信じてる」
私は思わず苦笑いした。
梨加は優しい。本当に優しい。それが、余計に辛かった。
私は天井を見つめながら、ねるのことを考えていた。
隣では梨加が、無防備に寝息を立てている。天使みたいな寝顔を見ていると、胸の奥がきしんだ。
私たちはいつものようにセックスし、射精した。ひとつだけ違うとすれば、心だけは射精しなかった。
(私って飽きっぽいのかな……)
横臥する梨加に、そっと抱きついた。優しく、と言い訳するみたいに。
なんだかんだで、この温もりは私を落ち着かせる。
梨加はセックスに悦びや愉しみを見出すタイプではない。だが、そういう子もいる。これで別にいいじゃないか。
ねるとは、あれきりにしよう。ねるは仲間だ。決して深い関係になってはいけない。そう言い聞かせながら、頭の中ではねるに執着している。私は瞼を閉じた。
釈然としない思いが、澱のように意識の底へ沈んでいた。