「似たもの同士なのかもね、私たち」
「似てないよ。だってずみこ、チビだもん」
私の頭に、大きな手がぽんと置かれた。面白くない。ムッとして、頬をふくらませる。
「愛佳だって胸が寂しいとこは似てないですねぇ」
さすがに胸に手を置くのは憚られた。もう少しだけ、仲良くなってから。
「なんだとぉ!」
「あ、また投げつけられる! 退散!」
空になった缶を床に落とす。カロン、と乾いた音。追うみたいに、空のペットボトルも転がった。
「待てよ!」
犬が自分の尻尾を追いかけるみたいに、私と愛佳はソファの周りをぐるぐる回った。きゃはは、と弾んだ声がこだまする。
床では空のペットボトルと缶も追いかけっこをして、最後は缶が先に捕まった。
追いついた志田が、ぎゅっと抱きついてきた。息が詰まって、私はその腕に歯を立てる。
「いでぇ! やったな、お返しだっ」
志田が大きく屈みこんで、私の腕に噛みついてきた。腕ごと抱き込まれて、息が詰まる。
「いたたた!」
「なんだろ……すごく人間感する」
(出た、愛佳独特の感想)
「なにそれ」と突っ込むと、志田がぶはは、と笑った。夜景の前で、私たち凸凹コンビのシルエットが浮かぶ。
ずっと前から気づいていた。志田は案外、いいやつだ。
私たちは少しずつ打ち解けていく。欅坂46にも、平手にも、複雑な感情を抱かないでもない。けれど、こいつの前なら、どれだけ素の自分を晒しても引かれない気がした。
ただ、そういう関係ほど、うまくほどけない。絡まった糸を、解かずに引っ張ってしまうように。せっかちに、投げやりに。
早く終わらせたくて。傷つけるだけなのに。糸は、黙って絡まっていく。