睨むも、NOの言葉が出ない。頭と身体が、言うことを聞かない。聞いてくれない。
彼女は思いきり、硬い表情をした私の顔を舐め回した。全身の肌がぞわぞわと粟立つ。
「挿れたら、私でなきゃ満足できんとなるかもしれんばい。それでもよかと?」
よほど自信があるのだろう。とてつもなく恐ろしいことを囁いてきた。
こいつ……
メチャクチャにしてやる––––
犯してやる––––!!
言葉に言い表しがたい激しい衝動に駆られた私は鼻息を荒げて、ねるを抱き寄せて噛み付くように唇を奪う。
(やってみろよッ!)
『友梨奈ちゃん』
電話越しに恋人が愛を囁いてくれた。
好きだよ––––
つぷっと水の音を立てると、ねるがゆっくりと降りてきた。
(くっ……うおおおっ!)
猛る男根はにゅるにゅるっと、根元まで一気にねるの中に収まった。熱い膣壁が男根をしゃぶってくるようで、溶けそうだった。
「んぅ……入っちゃった……あぁっ!」
ねるの愛液に染まりゆく男根を眺めながら、嬌声が電話越しの恋人に伝わらないように必死に堪えた。私のまだ発育しきっていない陰毛が、ねるの愛液で塗れる。
ギシッ、ギシッ、ギシッ……。
同時に、梨加の罪悪感が蝕むように、じわじわと胸から広がる。苦しくなったが、脳みそが電流のような快感で痺れて、やがて思考が機能しなくなっていった。
「私も……」
先端がこんにちはするまで尻を浮き上げては、打ち込むように振り下ろしてくる。ストレートの黒髪をざわざわ揺らしながら、踊り狂うように私の上で躍動するねるを、ただただ受け止める。
罪悪感と快感に打ち震えながら、恋人に愛を囁く。天使のような彼女に卑劣な真似をするなんて、私はきっと幸せになれない。
「好きだよ––––」
やっとのところで通話を切った。私はスマホを放り投げ、憎い女にのしかかって、堰を切ったように荒々しく腰を振りはじめた。ぱんぱんに膨らませてくれた男根で、子宮を何度も殴りつけるように突く。
(ちくしょう、ちくしょう!)
「あっあぁっ、あんっあんっ!」
ひと突き突き上げる度に、ねるは喘いでくれた。可愛らしい顔は淫靡に歪ませ、ムチムチとした身体を震わせている。口淫の時から何度も想い描いたねるの痴態は想像していたより何倍もいやらしかった。
「見てぇ、てちのが私の中に入ってるぅ! もっと、もっとぉぉ!」
敏感な反応に私は自信がついてきた。肉茎一本で女性を支配する喜びに酔いはじめる。
(ファック、ファック––––マジ、ファック!)
悔しいが、ねるは梨加ちゃん以上に、私を牡にしてくれる。それは認めようがない事実であり、付け加えて本当のセックスを知ったような気がした。
「浮気者……」
「あっ、ははは」
「ふん」
「する訳ないじゃん! 梨加ちゃん綺麗だし」
––––道徳心がプツンと切れた。
ギシッ、ギシッ、ギシッ……。
秘められた情事を行なっている傍ら、梨加ちゃんの顔がチラつきつつも、恐ろしいことを確信していた。
自分はきっと、また、ねるとセックスをする。するに違いない。それもきっと、自分からねるを求めに––––。