声我慢の刑

 太ももの上で往復を繰り返す丘が更にスカートの中に潜り、私のパンツの位置まであと数センチとなった。

パンツまでおよそ10センチ。そして、離れる。
あと7センチ。また離れる。
あと4センチ。また離れる……。

 私の呼吸はわずかに乱れていた。ばくばくと高鳴る心臓の音がうるさい。身悶えはじめる私とは対称的に、憮然ぶぜんとしてスマホを見ている理佐が恨めしい。
 欲情しきっためすの顔をしている私を見て欲しくないのに、見て欲しいと願う矛盾の正体を分析する余裕すらなかった。それくらい発情しきっていた私は、理佐の美しい横顔を愛おしそうに見つめる。それでも、こちらを気にする気配は一切ない。また丘が近づいてくる。

あと2センチ。離れた。
次はきっと、パンツに到達する––––。

 いやにゆっくりと進める丘を眺めながら、太ももをはしたなく震わせる。折り返し点で丘が止まり、こちらに向かって動き始めた。私はいつの間にか息を止めていたらしい。脳が甘ったるく痺れだした。

あと15センチ。10センチ。5センチ。3センチ……。

 ゼロ距離になるところで、羞恥に負けて脚をキュッと閉じてしまった。
 入場拒否された丘はそれでも諦めずに、足の付け根あたりをくすぐりだした。くるくると円を描くようにして、優等生のストッパーを外そうとしている。
 開脚を促しているのは分かっている。それでも、丘を受け入れる大胆な勇気が出てこなく、ますます体をこわばらせるばかり。すると、業を煮やしたのか。太股に爪を思いっきり立てて掴んできた。

「っ!」

 強引な侵入に驚いて、反射的にこわばった脚がゆるむ。それから、観念するようにおずおずと脚を開く。うぶさ故に、遠慮しがちに開いたことに不満だったらしい、私の太ももに爪がより強く食い込まれた。

「う……」

 切なげにうめき、羞恥心に抗いながらやっとの思いで脚を開いて、侵入者をギリ受け入れる体勢を取った。これが処女の限界だった。
 強引な侵入者は爪を立てるのをやめて、ゆっくりと、亀といい勝負なくらいゆっくりと太ももの内側に滑らせた。
 パンツの上の恥骨の部分を通過したところで、ブランケットの丘は沈んだ。理佐の指先は私のオシッコする部分へと這い進む。悩ましい溜息を漏らさずにはいられなかった。
 私の開花されていない花芯に到達すると、まだI字のおぼこな割れ目に沿うように上下に指をスライドしてくる。これもまた、触れるか触れないかの絶妙な手つきで。

「湿ってる」

 理佐のストレートな指摘に羞恥でうつむくと、丘が浮き出たり沈んだりしている淫猥な光景が目の前にあった。更なる羞恥で目をぎゅっとつむる。
 今度は、花芯にあてがった指の腹の力を僅かに強めて、摩擦するようにスライドしてきた。新たな快感に目を見開く。
 ブランケットが徐々にずり下がって丘の正体が明らかになりそうになったところで、慌てて裾を掴んで抑える。ブランケットをピンと引っ張ったせいで、浮き出ている様子がくっきりとわかるようになってしまった。眺めているだけでも卑猥で、むらむらしてくる。
 私のはこの時、自分の本音をしっかりと聞いてしまった。

触ってほしい!
もっと気持ちよくしてほしい!

 理佐の思う壺なのがまた悔しいが、理性が吹き飛んだ今、「もっと気持ちよくなりたい」というあまりにも単純すぎる欲望しか頭に浮かばなくなっている。優等生のストッパーはいずこへ––––。

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