恋のキューピッド

「茉由、最近モテモテやな」

 彼女は私の相方、小谷里歩だ。
 相方といっても漫才の方の相方だ。りぽぽ、という愛称で親しまれている。

「まぁね」

 ドヤる私。予想通りの返答にりぽぽは、やれやれのジェスチャーをしている。
 いやいや冗談なかれ、事実ですよ。

「もし、もしもの話やけど。付き合うとしたらどっち選ぶん?」

りぽぽの唐突な質問に不意つかれたからか、〝付き合う〟というワードにどきりと胸が高鳴った。

「ええ~、どっちも選べへんで。さや姉ゆーても親友みたいな感じやしなぁ。男の友情的な? でも……カッコイイとこもあるねんなぁ」

 最後は心ともなく照れた。ほぉ、とニヤつくりぽぽ。

「みゆきは可愛らしいし、エロいし、イイ女よな~。でも浮気しそうやねんな。現に私以外の色んな人にキスしまくってるやんか」

 最後は心ともなく妬いた。確かにね、と頷いて同調してくれるりぽぽ。よって、私の出した結論はこうだ。

「やから、さや姉とみゆき一緒に付き合う!」

「それ二股やんけ!」

 間髪入れず突っ込んでくれる相方りぽぽ。いや、割とマジやったんやけどなぁ。

大組閣の時、私がお願いしたのが神様に通じたんやな。
あれ、もしかして私って今、漫画の主人公状態じゃね?

 あれ私って何をお願いしたんだっけ、と思ったがモテ期到来の喜びに浸っていた茉由はそれを頭の片隅に追いやった。

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