「皆~! ありがとう!」
友香が幸せそうに新郎と並んで、皆からの祝福を受ける。私は初恋の人の幸せをしっかりと見届けた。
「では、いきまーす!」
結婚式定番のブーケトスの時間がやってきた。友香が私たちに背を向けてブーケを後ろに投げる。そこで、一瞬友香と目が合ったのは気のせいだろうか。ブーケはふわりと弧を描いて私の元に降ってきた。顔を上げると、友香が優しく微笑んだ。
「私、幸せになるんだから!」
(絶対、幸せになってやるんだから––––!)
「だ、大丈夫?」
鈴本が私の背中をさすりながら、心配そうに顔をのぞいてきた。
「ほらよ」
志田がハンカチを差し出してきた。
「あら、私は泣いてなんかないけど」
志田は私に「強がりはモテないぞ」と、耳打ちした。
「大丈夫。決着ついたから!」
渡辺、鈴本、志田3人は目を瞬かせている。
「私は私の道を行く!」
「おお~」
「わ~」
「うん、それがいいよ」
もう傷付くのは怖くない。
どんどんぶつかっていくわ。
そして友香には負けないくらい、魅力的な人間になる。
「目指すは100人斬りよ!」
「おー!」
「ファイトー!」
「あと99人じゃん、頑張れよ」
「……って、なんで知ってんのよ! 愛佳!」
「首に二人の記念物が付いてるし」
茜は友香とのアルバムを完成させて、大切そうに胸の奥にしまった。
負けず嫌いで不器用な、守屋茜の初恋の物語はこれでおしまい。その後、彼女は果たして100人斬りを達成できたのでしょうか。成果は読者の想像にお任せするとして、これから彼女が描く新たな恋物語は、友香との思い出を糧に逞しく乗り越えていくでしょう–––––。
Fin
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